札幌に暮らして数十年、ステラプレイスができる前の札幌駅前でどさんこワイドの街頭インタビューを受け、その時の放送を録画しておいたビデオはどこへ行ったのか…と昔を懐かしむ、kobayashi(parking@ace)です。
2003年開業のJRタワースクエアのひとつ、札幌ステラプレイス
昔の札幌駅はちょっと地下通路を歩くと、本当に通路って感じの殺風景な空間が多くありました。その頃は「そごう」の10Fで、買い物ついでによくお昼ごはんを家族と一緒に食べていた記憶があります。現在もそこはエスタグルメタウンとして飲食店が多くあり、札幌駅近辺でお腹をすかせた人々を満足させ続けています。
そのそごうも「札幌エスタ」に名称が変わり、地下街の「アピア」「パセオ」と「札幌ステラプレイス」の4つの総称が「JRタワースクエア」として2003年に開業しました。それにより以前の殺風景な空間もなくなり、ショッピング楽しむ人たちに向けた複合商業施設として賑わう事になりました。
これは主観ですが…札幌の街は以前、ファッションを楽しむ人達は「大通」で買い物をしていて、おしゃれな人達を多く見かけましたが、JRタワーが出来てからは札幌駅近辺に多く集まるようになりました。そんな札幌のファッション文化にも大きな影響を与えたJRタワースクエアの「札幌ステラプレイス」6Fに自らの募金で共作できるアートがあります。
エスタ6Fからステラプレイスへの連絡通路を通ったら…
エスタ6Fからステラプレイスに移動できる連絡通路を通ると、水色・紫・青・紺色の動物でカタチにくり抜かれたアート作品があります。水色の「エゾヒグマ」前はよく通る場所なので、目にする人も多いと思います。
娘が生まれる前はただ通り過ぎてチラッとみる程度でしたが、娘が大きくなり…「お金を入れてみたい!」と言われてから、このアート作品に興味を持つようになりました。
北海道の野生動物保護を目的に作られた募金箱
これは、社会との繋がり・自然との繋がりを根底としたアート活動を数多くされていた長谷川仁(1919~1994)の作品で「コインズ」という名称です。北海道の野生動物保護を目的に作られた募金箱でした。
絶滅危惧種の「エゾヒグマ」「シマフクロウ」「ゼニガタアザラシ」はわりと高い位置に投入口があるため、小さな子供は抱きかかえなければ入れる事が出来ません。娘を抱きかかえ…硬貨を入れたらすぐにおろしてお金が入る様子を一緒に見ます。自分が入れた硬貨がどこにあるのか確認できるので、目で見ても楽しめます。
↑シマフクロウ
↑ゼニガタアザラシ
そうして硬貨がたまっていくと色がついていき、このアート作品の一部となります。親と子が協力して楽しみながら作品の一部を作り上げていく、硬貨を入れた人達の思いが積み重なる事で、見た目が変化する動的なアート作品ですが…「エゾオオカミ」は募金する事が出来ません。
絶滅したエゾオオカミに募金ができず、気付く事
この作品の奥には他の3つとは違い、動物のカタチがくり抜かれたのみで、硬貨投入口がないものがあります。それは「エゾオオカミ」です。
すでに絶滅しているので、このアート作品の目的である野生動物保護は「エゾオオカミ」ではする事が出来ない為、募金する事が出来ません。
この4つの中に「エゾオオカミ」が入っている意味はとても大きいです。
それは、まだ救える絶滅危惧種がいるという事、これ以上絶滅種を増やしてはいけないという事を、募金という小さな行為で意識する事ができるからです。硬貨が絶滅危惧種の動物の色を全て塗り替えたら、野生動物保護団体へ募金されるそうです。
子供が興味を持つ、子供と一緒になって楽しむ、このアートの目的を知るという僕が経験した流れは、作者の想定内の事ではないかと、僕らもこのアートの一部になったような錯覚さえ覚えてしまいます。そんな「コインズ」はとても素晴らしい作品だと思いました。娘がもう少し大きくなったら、この作品の持つ意味を教えたいと思います。
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住 所:札幌市中央区北5条西2丁目
ステラプレイス 6F
電 話:011-209-5100
アクセス:JR札幌駅 直結
地下鉄南北線・東豊線さっぽろ駅 直結
営業時間:10時~21時(日曜営業)